テスト

その日 英世は宇宙の星に匹敵するほどの膨大な数の細菌の中から飛び切り凶暴な細菌を発見しました。
それは患者の脳の中から見つけ出した梅毒スピロヘータと言う最悪最強の細胞でした。そしてその細胞の発見は〃ふちの病〃に治療の糸口を与える大発見となりました。

まさに英世の労をいとわず誰も探そうとしなかった部分にまで探索(たんさく)の手を伸ばしたから成(な)しえた成功でした。
思い込んだら徹底的にやり遂げるその英世の精神がつかんだ栄光でもありました。

発見の翌年 英世はノーベル医学生理学賞の候補となります。さらに細菌学の権威(けんい)として世界にその名を知られる存在となりました。
その年 東京大学より理学博士の学位を授与されました。そしてロックフェラーの正式な社員にも昇進しました。

これで英世が故郷 福島に帰国するに値する十分すぎるほどの材料がそろいました。

1915年 見事に志(こころざし)を遂げた英世は帰国し母シカと 実に15年ぶりの再開を果たしました。それは英世38歳シカ63歳のときの事でした。
2人は東京や関西を旅行して楽しいひと時を過ごします。実は母シカは息子の英世にあの時の事故(左手の火傷)の事をずっと申し訳ないと思っていたそうです。

しかしその時の旅行でそのシカの心の負い目がようやく癒されたようでもありました。

そして2か月後 英世は再びアメリカに戻ります。 そしてその後 母と子は二度と会うことはありませんでした。
さらに母シカはその3年後 英世が南米エクアドルを出張中に66歳でこの世を去るのでした。

母シカと息子ヒデヨ

ーーーこのあと英世は新たな敵となる病原菌に立ち向かうために南米エクアドルへと足を運びます。 

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